暑さ寒さが気にならない方には面白くない『温熱環境』の話

温熱環境っていう言葉自体があんまりなじみがないのだけれど、要は建物の断熱・気密・通風、空調や採光というところまでをひとくくりにしたものだと考えて下さい。

温熱環境については、日本の家づくりには大きく分けて2つの流れがあります。

  • 一つはスキマをなるべくなくしていこう、というもの。
  • もう一つはスキマを許容していこう、というもの。

前者が高気密高断熱住宅と呼ばれるもの、後者は昔ながらの気密性は気にしない、という家づくり。

両者の違いは『気密』の差。


設計者が二人集まると必ず議論になるというか、永遠に歩み寄れないのがこの気密についての考え方。
どっちもメリットとデメリットがあって、どちらが優れているとは言い切れないのです。

私も現在、地熱住宅という高気密住宅の会の事務局をやっている高気密派なのだけれど、昔ながらの開放的な家にもとっても憧れてしまう・・・両方のいいところを兼ね備えられたらと常々思っている自称中立派です(笑)


ちなみにこの『気密』合戦は

『工務店』『建築家』
という構図になる場合も多い。

断熱や気密を重視するとデザインやプランの自由度が低くなる。
それに余計な(設計屋にとっては)コストが掛かるしねぇ。


そして、

『建てる側(設計者・施工者)の好き嫌い』


が最も大きな障害であったりするのがたちの悪いところなのです。


ただ、家は住む人が最も優先されるべきで、となると私たち建てる側は建て主のニーズをしっかり汲み取ってあげて、それに合わせた提案をするべき。
でも実際、高気密派は数値に捉われていて柔軟な発想ができないし、もう一方は気密の知識を持ち合わせていないということがほとんど。

となると、やっぱり施主自身が温熱環境についてある程度方向性を持っておかないと、作り手側のいいように持って行かれる可能性が非常に高くなる。

家づくりって、建てる期間はほんの数ヶ月。でも施主はそこで何十年も暮らさないといけない。
暑さ寒さは毎日のことだから、これが不満だと長い期間ストレスを感じ続けないといけません。ランニングコストも掛かりますし。

わざわざ冬めちゃくちゃ寒い家に住みたい人はいないし、夏めちゃくちゃ暑い家に住みたい人もいないはず。
なのにあんまり目を向けてもらえない温熱環境。

この目に見えない部分に力を注いでいるのが当事務所の地味なアピールポイントです。