木の「割れ」と「変形」
木の欠点の一つに「割れ」があります。
「自然素材だから仕方ない」、とはよく言われますが、家を建てる側としては、なかなかその一言で不安が解消されるものではないと思います。
でも、そもそもなぜ割れるんでしょうか?今回は少し木の性質について触れてみます。
木は伐採された時点では、かなりの量の水分を含んでいるのですが、その水分が抜けていくにつれて、「縮む」という性質を持っています。
でもこれは、木に限ったことではなく、たとえば布でも土でも、肉や魚でも、みな同じですね。体に含んだ水分が抜けると、ものは小さくなるわけです。
ただ、木には性質の異なる三つの方向があり、このことが「割れ」という現象を生んでしまうんです。
木の三つの方向。その一つは、木の幹に沿った「繊維方向」。そして、年輪の「接線方向」に「半径方向」があります。
この木の三方向、やっかいなのは、水分に対する収縮率が違うということなんです。同じ水分量が抜けても、その水分量に対する縮み具合が違うから、引っ張り合って割れてしまうんです。たとえば、この収縮率が同じであれば、木は割れないわけです。
さて、ではどの方向が最も縮むと思いますか?
正解は、接線方向。この方向が一番大きく縮みます。次に収縮率が大きいのは、半径方向。そして、最も小さいのが、繊維方向となります。
だから、もし板などの製品を製材すれば、図のような感じで変形したり、反りがおこります。
山で生きている木を伐採すれば、天然乾燥をするにしても、人工乾燥をするにしても、水分は必ず抜けていくわけですので、必ず木材は変形をおこし、割れてきます。
ただ、その変形や割れに対して、「自然素材だからしかたない」と、何の対策もされていないのかと言えば、そうではありません。
たとえば、板材には「そり止め」という溝加工がされていますし、収縮に対応できる「さね加工」もされています。また、割れを極力起こさないような木材の乾燥方法も開発されています。
木材を供給する側は、できる限りの対策をした上で木材を出荷してきます。
でも、それぞれの家庭に木材を使った場合、たとえばエアコンの効きすぎた部屋や、閉めっぱなしの部屋の中では、木材の水分状態は変化してしまいます。そうなると、どうしても割れや変形が発生してしまうのですが、生活に支障をきたすものではないし、強度に影響するものでもありません。
ただ、人工的な素材に慣らされてしまった今の暮らしの中で、「割れ」や「変形」といった変化は特異的に受け取られるのかも知れません。木をくらしに上手に取り入れるためには、まずそんな木の特徴を理解することが大切だし、その変化を受け入れる寛容さも必要なのだと思います。
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