築700年、日本最古の民家の温度を測ってみる

さて、私が日本最古の民家『箱木千年家』に来たかったのは、最近はまっている写真撮影がしたかったわけではなく・・・いや、したかったけれども(笑)。

一番の目的はこの住宅の温度測定をしてみたかったんです。

なぜかというと、私が取り組んでいる地熱住宅と日本の民家との接点を知ることができるんじゃあなかろうかと。

はい、今回の内容は温度計の写真ばっかり出てきますので、面白くない人にはすんごくつまらない、でも一部のマニアには生唾ものの内容となっております(笑)

細かいことは置いておいて、早速温度測定開始!まず、室内の気温と相対湿度を測ってみよう。と、わざわざ事務所に寄り道してもってきたこれで測ってみます。

2008年8月3日10:54の室温は32度、湿度は59%。あれ?外から中に入ったらかなりひんやりしてたのに、結構室温高いんだ・・・

ちなみに外はどうかと軒先で測ってみたら同じでした。そりゃそうだ、ずっと扉開いてるんだから。でもなんで日陰になってる軒先より家の中が涼しく感じるんだろう?気持ちの問題か?
ということで次は別の機械で土間の温度を測ってみます。

じゃ~ん、最近うちの仲間になった赤外線放射温度計 SK-8900くんです。 物体が発する赤外線を感知して表面温度をピッと測れてしまう優れもの。前から欲しかったんですが高いだろうなぁ、と思って手が出なかったんですが、15000円くらいで結構お手頃。温熱環境考える会社ならやっぱりもっとかないとね!なんて最近買っといて偉そうに(笑)

予想では、おそらく室温と土間や壁、天井の温度はほぼ同じだろうと思っていました。定常状態にあるだろうと。

ところがさっそくピッ、と土間を図ってみると26.3度、なんと室温より6度も低い!これはちょっと驚き。
何箇所か測ってみると入り口近くは1度ほど高いものの、北側に行くにつれ低くなっている。なるほど、土間の冷放射があるから涼しく感じるのか、と納得。床冷房状態なわけだ。

しかし、戸はすべて開けっ放しのこの家でここまで温度がちがうとは・・・明らかに地中熱の恩恵を受けてるな。よし、ついでに北側の壁も測ってみよう。

さすがに壁は室温と同じだろ~と思ったら、28.4度。こっちも室温より4度低い。すごい、なんで?土壁は熱容量が大きいから、夜の低い気温を蓄えてるんだろうか?まぁ、北側だしこれくらいは・・・と次は南側の壁を測ってみる。ぴっ、と。

南東側のうまやの南側の壁が一番日当たりがいいだろうと測ってみたら、うまや、おまえもか。30.1度。やっぱり室温より低い。つまり家全体が冷放射してるんだ。チセと同じやんか! すごいぞ、千年家。

しかし外側はどうなんだろう?と疑問がわき、次は南側壁の外側を測ってみることに。ぴっ。

こっちは予想通り、室温より高い。なんか体温みたいな温度だな(笑)
しかし待てよ、外側と内側で6度以上違うってことか?たかだか10センチの土壁で?そんなに断熱性があるのか?日本家屋が涼しいのは土壁の冷放射の影響が大きいということか・・・

では本日のメイ~ンエベント、屋根の温度を測ってみるぞ。
40センチ厚の茅葺きの断熱性やいかに?まずは外側から。

軒先から外に出た瞬間、暑いぃ~・・・今日は天気がいいから余計とろけそう・・・
そうだ、先に地面を測ってみようと、ぴっ、したら、50度近い・・・日射熱の力はすごい・・・

気温が高い上に太陽に照らされ、下からは50度の輻射熱なわけだから、そりゃ暑いわけです・・・土でこれだからアスファルトはもっとすごいんだろうね。都会の営業マンの皆さんに頭が下がります。

と、気を取り直して屋根の表面温度を・・・

ぴっ、と、うわぁ!60度越えてる!これは熱い。やけどする温度だぁ・・・ここまで上がってるんか?
茅葺きでこれだとすると、黒い屋根材の家とかは何度くらいになってるんだろう?80度とか行ってるんだろうか???よく小屋裏収納にプラスチックのおもちゃおいとくと溶けるっていうけど、そりゃ溶けるわな・・・

しかし、表面がこんだけ上がってれば、いかに茅葺きといえど室内の天井は暑いんだろうな、と不安がよぎる。でも、私は測らなければならない。なぜなら・・・そこに屋根があるから(笑)

うわぁ、なんかどきどきするぞ・・・

まずは家の外側の軒裏を測ってみよう。

ピッ、おぉ、35度!表面と30度近くも温度が違う!

すごいな茅葺き、よくやったぞ!
日本家屋って本当に屋根断熱だったんですね。茅葺きって本当にエコな外断熱なんだ。

しかし、35度もあるってことは、室内の温度より高いわけか。ということはやはり室内の屋根はどうしても暑くなるんだろうな・・・仕方ない、念のため測ってみよう。それ、ピッと。

えっ?うそっ?30度???室温より2度も低い!
この家、床も壁も屋根も、室温より低いのか!!!

本当に家全体が冷放射してる、天然のクーラーなんだ・・・

これはかなり驚きでした。土間は分かるとしても、屋根は室温より高いだろうと踏んでいたので・・・だって普通の家は天井が一番熱いからね。クーラー掛けてたって室温ばっかり下がって表面温度は下がらない。

人間の体感温度は室温と輻射熱の平均だから、この家での体感温度は28~29度くらいに感じるんでしょう。
そして、低い土間温度の冷輻射を受けて、屋根温度や壁温度も下がってると考えられます。クーラーもない当時の人々はこうやって冷を取っていたということです。

いくら風通しを良くしても、真夏は風自体が暑いわけですから・・・

少なくとも室町時代の人々は、地中熱と共に生きていたってことです。今まで文献でしか読んだことのなかったチセをほんの少しですが感じられるいい経験となりました。

やはり先人の知恵は素晴らしい!

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