木の「割れ」と「変形」

木の欠点の一つに「割れ」があります。

「自然素材だから仕方ない」、とはよく言われますが、家を建てる側としては、なかなかその一言で不安が解消されるものではないと思います。

でも、そもそもなぜ割れるんでしょうか?今回は少し木の性質について触れてみます。

木は伐採された時点では、かなりの量の水分を含んでいるのですが、その水分が抜けていくにつれて、「縮む」という性質を持っています。

でもこれは、木に限ったことではなく、たとえば布でも土でも、肉や魚でも、みな同じですね。体に含んだ水分が抜けると、ものは小さくなるわけです。

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ただ、木には性質の異なる三つの方向があり、このことが「割れ」という現象を生んでしまうんです。

木の三つの方向。その一つは、木の幹に沿った「繊維方向」。そして、年輪の「接線方向」に「半径方向」があります。

この木の三方向、やっかいなのは、水分に対する収縮率が違うということなんです。同じ水分量が抜けても、その水分量に対する縮み具合が違うから、引っ張り合って割れてしまうんです。たとえば、この収縮率が同じであれば、木は割れないわけです。

さて、ではどの方向が最も縮むと思いますか?

正解は、接線方向。この方向が一番大きく縮みます。次に収縮率が大きいのは、半径方向。そして、最も小さいのが、繊維方向となります。

だから、もし板などの製品を製材すれば、図のような感じで変形したり、反りがおこります。

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山で生きている木を伐採すれば、天然乾燥をするにしても、人工乾燥をするにしても、水分は必ず抜けていくわけですので、必ず木材は変形をおこし、割れてきます。

ただ、その変形や割れに対して、「自然素材だからしかたない」と、何の対策もされていないのかと言えば、そうではありません。

たとえば、板材には「そり止め」という溝加工がされていますし、収縮に対応できる「さね加工」もされています。また、割れを極力起こさないような木材の乾燥方法も開発されています。

木材を供給する側は、できる限りの対策をした上で木材を出荷してきます。

でも、それぞれの家庭に木材を使った場合、たとえばエアコンの効きすぎた部屋や、閉めっぱなしの部屋の中では、木材の水分状態は変化してしまいます。そうなると、どうしても割れや変形が発生してしまうのですが、生活に支障をきたすものではないし、強度に影響するものでもありません。

ただ、人工的な素材に慣らされてしまった今の暮らしの中で、「割れ」や「変形」といった変化は特異的に受け取られるのかも知れません。木をくらしに上手に取り入れるためには、まずそんな木の特徴を理解することが大切だし、その変化を受け入れる寛容さも必要なのだと思います。


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「木裏」と「木表」

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何にでも表と裏があるように、木にもやっぱり「表」と「裏」があります。文字通り、木の表側を「木表」、裏側を「木裏」と言います。

木表とは、樹皮に近い方の面をさし、木裏とは、木の中心に近い方をさします。この木表と木裏、使い方を間違えると、とんでもないことになってしまいます。

木を一枚の板にした場合、水分が抜けていくにつれて、木表側に反るように、図の左下のように木に変形が生じます。これは水分状態や、方向によって異なる収縮率をもつ木の特徴です(割れや反りについては次回!)。


フローリングに使っても、階段の板に使っても、このような変形は起こります。だから、この変形を起こさせないために、「反り止め」という加工を施してみたり、木材の乾燥具合を気にしたりと、製材所もかなりの気を使っています。

ただ、それ以前に、表と裏を間違って使ってはいけないんです。

例えば、右下の図のように、「敷居」も「鴨居」も、木表側が室内側を向くようにとめつける必要があります。左側の反りの図を見てもらえると分かるかと思いますが、反りを抑えつける方向で留めつける必要があるのです。もし逆に使ってしまうと、反りが発生し、木が室内側へ膨れてきてしまい、建具の開閉ができなくなります。

こんな小さな、いわば「面倒くさいルール」が、木にはたくさんあります。このあたりが、今の家づくりの中で敬遠され、使われなくなってきているのかもしれません。

でも、「面倒くさい」以上に利点があるのが、木材や自然素材だと思っています。


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木の「元」と「末」

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ご存知の通り、木は上へ上へと少しずつ成長していきます。根に近い部分と、空に近い方の部分では、少し性質が異なります。この性質の違いを上手に使い分けし、きちんとした製材所では、根っこに近い部分は造作材に、それより上の部分は構造材にと、製材されています。

水分を下から上へと吸い上げて、上へ上へと伸びてゆくものなので、細胞や体のつくりも、当然そのようにできています。だから、「木は山で育った状態で使ってやるのが一番」なのです。

山で木が生えていた状態で使う・・・たとえば、「山で北側を向いていた木の面は、北側を向いている柱に使う」などといった具体です。

でも、今の住宅づくりの中では、そこまでできないのが現実です。ただ、今でも、国産材を使った住まい造りで守られている鉄則はというと、「元」と」「末」。

「元」とは、木の根っこに近い部分をさし、「末」とは空に近い部分をさします。

柱として使う場合には、「元」を「下」に、「末」を「上」にして使います。山で生えていた状態と同じスタイルで立たせてやるのです。その方が長持ちで強いとか。これは木を扱う人にとっては常識です。

でも・・・柱のセリ市場などに行くと、これが逆になっていることがあります。つまり、「元」を「上」に、「末」を「下」に柱を立てているのですが、なぜだろうと不思議に思いました。木を扱う人ばかりの場所だから、とっても気持ち悪く感じるハズなのですが・・・。

でもちゃんと理由があったんです。

居合わせた人に聞いたところ、「水が抜けやすいから」だとか。木は根っこ(元)から葉っぱ(末)へと水を送るつくりになっているので、水分を少しでも抜きたい時には、逆さまに立てておくといいんだそうです。さらに、「元」部分の方が節が少ないので、「人が立って柱を見たときに、元が上の方が綺麗に見える」って理由もあるようです。

この「元」と「末」。木肌で見分けるのはちょっと難しんですが、そんなことをちょっと意識してみると、上棟したばかりの住まいに立つ柱は、そのまま木がそこに立っているように見えてきます。

木の家はやっぱり、都会の中の森だと思います。


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「辺材」と「心材」

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写真の丸太を見て下さい。

これは「杉」の丸太ですが、色の白い部分と、赤い部分がありますよね。
この赤い部分を「心材(しんざい)」、白い部分を「辺材(へんざい)」と呼びます。

この「心材」と「辺材」は、互いに異なる性質を持っています。
さて、何が違うと思いますか?


まずは強度。建物を支えるために必要な強度のこと、つまり「木の強さ」ですが、心材と辺材のどちらが強いと思いますか?「心材!」と思う人が多いのではないでしょうか?
でも、答えは「辺材」なんです。色の白い外側の部分が、強度的には優れています。

では次に、どちらの方が水や腐れ、菌などに強いと思いますか?
そう、今度は「心材」、中心部分の色の赤い部分が強いんです。

なぜ1本の木の中でこんな違いがあるのでしょう?

それは、「心材」部分は生命活動を停止しているからです。
木は何十年もの間、何十メートルもある自分の体を支えながら生き続けています。全ての細胞が活動していては、根からの水分吸収がとても追いつきません。そこで、ある程度年数の経った細胞は活動を停止し、眠りにつくのです。

そうやって世代交代をしながら、木は外側へ年輪をつけて成長していきます。つまり、外側の白い部分の、比較的新しい細胞が、活発に活動しながら木は生きていくのです。雨や風、台風などにさらされながら、何十メートルもの巨体を支えているのもこの部分。だからこそ、強いんです。

一方、眠りについた赤い部分の細胞は、生命活動をしないわけで、油断するとすぐに、シロアリやその他の害虫のエサになってしまいます。だからちゃんと自分を守るための成分を貯えて眠っているのです。そのため、伐採されてからも、この部分にはその成分が残り、水やシロアリに対してとても強いんです。

家をつくる時の材料として、素材に求められることは、「強度」と「耐久性」ですが、実は国産材はその両方を兼ね備えている優れモノ。樹種の使い分けと共に、心材と辺材も使い分けることで、木の家はさらに長持ちします。


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間伐材=悪い木??

さて、間伐材のお話のつづきです。

たくさん植えた苗を、成長と共に間引く作業を「間伐」と言い、その際に伐採された木を「間伐材」と言うのですが、この間伐材は、「小さく、弱く、質が悪い木」なのでしょうか?

今回は、一般的にそんな風に思われている間伐材の汚名返上のために書いていきます(笑)

間伐の時期や本数などは、植え付け本数や育てる目的、生育環境によって異なってくるのですが、大体は植え付けから10~15年ほどで、明らかに成長の悪い、将来性のない木は伐採(=除伐と言うのですが、全て山に切り捨てられます)されます。

その後、最初の間伐は、木の頭どうしがくっついて、隣り合う木同士に成長の優劣がでてきた時期に行います。

例えば、植え付け本数がヘクタール当たり3,000本の最も一般的な杉人工林の場合だと、20~25年生位からです。桧は杉よりも成長が遅いため、30年生くらいから間伐が始まります。

一度の間伐で、一気に木の本数を減らしてしまうと、風・雪・台風などの災害に弱い山になってしまうので、最初の間伐を終えたのち、5~10年したら次回の間伐、また3回目の間伐...という具合に、間伐は繰り返されていきます。

つまり、植え付け本数の多い地域では、繰り返し期間は短くなり、間伐回数も増えるということですね。

さてこの間伐、単純に「成長が遅く、形の悪い木を伐る」のかと言えば、そうでもないんです。

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植えられた杉や桧の苗は、みなまっすぐにスクスク育つわけでなく、図のようにいろいろなタイプがいます。

このうち、「どれを、いつどれだけ伐採するのか」ということを決めるには、いくつかの法則があります。


例えば、DとIを残す場合、Oのような木だけを伐る場合、またDやC-Dのような木を伐採する場合もあるんです。

この判断は林業にとっては非常に重要で、大きな木を育てるのか?柱材を育てるのか?高級材を育てるのか?、さらには、その間伐で収入を必要とするのか?などのよって異なってきます。

つまりただ単に、Oのような木だけを伐採するのが間伐ではないのです。
林業家によっては、良い木からどんどん間伐して、毎回の間伐で何らかの収入を得ている人もいます。
一方で、あくまで優良な木だけを山に残し、間伐した材は山に放置しているという林業家もいます。
一言で「間伐」といっても、とっても奥が深く、それぞれの目的があるわけです。
ね、間伐材=駄目な奴ってわけじゃないでしょ。

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さらに、今「間伐」といっても、そのほとんどは、戦後植えられた杉・桧。そう、すでに50~60年が経過した立派なものばかり。一般住宅の柱や梁に使うには十分に育った木なのです。

だから、ある木が間伐材かどうかと気にする必要も、また区別する必要もないのです。

ちなみに、植林から30年程度の若い山から伐採された間伐材も、現在では半分に割って集成材にされ、フローリングや棚板・階段材などに利用するなど、できるだけ山に捨てずに有効に使おうという動きが強くなっています。
家づくりの要所要所にこういった材を活用することも、山の活性化を助けます。

今、間伐材と呼ばれている木も立派な木材。
変な区別をせず(笑)、どんどん家づくりに使っていきましょう!



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メジャーの仲間入り?「間伐」

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山問題が少しずつメディアで取り上げられ、国産材を使った木の家づくりも、「特別なもの」ではなくなってきました。
本当に、本当に、嬉しいことです。
さらに、今後はどんどん、そんな家づくりが当り前になっていくと思います。

そんな状況の中で、「ずいぶんポピュラーになったな~」と感じる言葉、「間伐材」。
イベントなどでも、お客さんから、
「これは間伐材使ってんの?」、「間伐材でも家ってつくれんの?」
なんて質問をよく受けるようになりました。そんな方々は、間伐の重要性についても、とてもよくご存知。

「元気な森林づくりのために必要なのが間伐」なんですが...
「間伐材」についてはまだまだ誤解があるのでは?と感じることが多々あります。

なので今回は、「間伐材」について書いてみます。

このコーナーでもお話ししてきましたが、国内に植えられた杉や桧は、主に住宅の「柱」をつくるために育てられてきました。
良い柱をとるために、山の人たちは苗を密集して植えてきました(密植と言います)。
例えば、吉野杉で有名な奈良県の吉野地方では、なんとヘクタール当たり8,000~12,000本もの苗木を植えました...と言っても想像がつかないと思いますが(笑)、つまり木と木の間隔が1mもないような状態で苗を植え付けていったのです(ちなみに、一般的な植え付け本数は、ヘクタール当たり3,000~5,000本です)。

では、なぜ「密植」したのでしょう?

それは、「木を速く成長させない」ため。
密に植えつけられた苗木は、少し伸びればすぐに葉と葉、枝と枝がお隣さんとくっついてしまいます。光を十分に浴びることができないから、木はなかなか大きくなりません。
意外かも知れませんが、建築に使うための木は、成長を抑制しながら育てる方が良いんです。

なぜでしょうか?

それは、まずは雑草と生存競争させて強い生命力を養い、次に苗木どうしで生存競争させながら成長を抑えることで、年輪幅が小さく均一化された密度の高い木(=強度の優れた木)が育つからです。
吉野杉や秋田杉と呼ばれる木は、そんな風に育てられたため、木目が通って艶があり、とっても奇麗。
さらに、狂いも少ないので、精度を要求される建具の材料としても十分に使えるわけですね。

そんな木を育てるためには、前述のように、密植した木を計画的に間引きする必要があるのですが、この作業のことを「間伐」と言います。
そうすることによって木の成長量を思い通りにコントロールし、目的に合った木を育ててきたのが林業なのです。
地域によって成長の早い遅いがあるし、また目的も違うので、植え付け本数や間伐の回数・時期も違ってくるわけです。

もちろん、間伐の目的はそれだけではありません。
ご存知の人も多いと思いますが、間伐によって林の中に光が差し込み、下草が一斉に芽をふいて、元気で保水力のある林になります。

ところで、「間伐材」とは一体どんな木なのでしょうか?
「小さい木?」、「弱い木?」、「質の悪い木?」
なんて声が聞こえてきそうですが...私が「誤解」と言いたいのは、このへんなのです。

...っと、ちょっと長くなりすぎました(笑)。

続きは次回!


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節のあるなし

節のない木材と、節のある木材。
建築においては、前者を「無節」、後者を「節あり」と呼びます。

この違いって、何だと思いますか?
そもそも節って何でしょう?

これはご存じの方も多いと思いますが、節=枝のこと。
樹木は枝を張って葉っぱを茂らせて初めて、太陽の光を集めることができ、生きていくことができるので、枝のない木などないのです。
すると...無節って??どういうことなのでしょう。

お話したように、木には必ず枝があるので、「無節」といっても、節の存在しない木材という訳ではなく、ただ「表面に節がない」ということなんです。
つまり、木が山で生えている段階から、柱として使われることを想定し、製材時に表面に節がでないように育てられた木という訳です。

昔は柱を隠さずに家を造る(真壁工法)ことが主であったため、見た目に美しい節のない木が重宝がられました。
ましてや、数寄屋造りや和室周りなどには、より一層、無節で艶のある白い木が求められました。
そのニーズに応えるための山側の努力の結果が無節の木なのです。
当然、「無節」という付加価値によって、高い木材価格を確保することは、林業経営にとって、とても重要なことでもあったのですが...。

いずれにしても、自然に育てて、製材時に偶然、柱表面に節が出なかった、というものではないということです。

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では、どうやって無節の木をつくるのでしょうか?

まず、1本の木から柱をとるためには、丸い丸太を四角く製材する必要があります。
例えば、4寸角(12cm四方)の柱をとるためには、最低でも直径17cmの丸太が必要です(計算上のことなので、実際には挽きシロなどをみてもう少し大きめが必要)。

図の四角の部分が柱だとすれば、この表面に節が出ないように育てればいいわけですね。

ところで、木はどのように太るのか?というと、中心部分が広がって太っていくわけではなく、樹皮のすぐ内側の部分が太ることによって大きくなっていきます。
つまり、外側から太っていくわけです。
外側が年輪をつけて育つということは、幹の外に出ている枝は成長とともに幹に巻き込まれてゆくということです。
この幹に巻き込まれた枝が、製材時に表面に出てくると「節」になってしまうのです。

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そこで山の人達は、枝を人工的に切る作業「枝打ち」を繰り返してきました。
枝うちして枝を切れば、木はその傷跡を覆うように成長していきます。

だから、ある程度の年齢までに枝打ちをしてやることで、柱表面に節の出ない木材をつくることができるのです。

ちなみに、木の枝の数や位置は、その木が誕生した時点で決まっているので、切り落とした枝がもう一度生えてくることはありません。

この作業を熱心に繰り返し、見事に育て上げられてきたのが、吉野杉であり、秋田杉だったのです。

一方、枝うちは、単に無節の柱を生産するためだけでなく、枝葉の量を調節することで木の成長をコントロールし、さらには林の中に適度な光を取り入れることで、下草の生長を促すためでもありました。

この点では、間伐の効果と同じですね。

...って、今回のお話、ちょっと難しかったでしょうか...?



ちなみに現在の住宅建築は、柱を隠してしまう大壁工法が主流。
さらに和室のない家も多くなり、無節の柱なんて必要のない家がほとんどです。
もちろん、節のある木が悪いわけでもありません。

ただ、大変な苦労をかけて育てられたものだから、どちらも有効に活用できないかな...そんな風に思うのです。


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広葉樹と針葉樹

山オタクとしては、とっても初歩的なことがらなのですが(笑)...

広葉樹と針葉樹って、どんな違いがあるか、皆さん知っていますか?
「葉のとがっているのが針葉樹、平たいのが広葉樹」そんなところでしょうか?

でも...例えば、秋に御堂筋をまっ黄色に彩る「イチョウ」は針葉樹。
あれ?イチョウの葉っぱって、どう見ても平らで広葉樹の葉っぱの形をしてますよね?そう、広葉樹と針葉樹の区別は本来、「葉っぱの形状」ではないんです。

地球上の樹木は、広葉樹か針葉樹かのいずれかに分類されます。どちらの種類が多いのかというと、圧倒的に広葉樹。針葉樹が約500種類なのに対して、広葉樹は何と20万以上もの種類があると言われています。樹木の祖先は針葉樹で、広葉樹は針葉樹が「もっとたくさんの光をあびたい」ということで、葉っぱを広げて進化したものだとされています。

さて、両者の違いなのですが、実は「裸子植物」なのか「被子植物」なのか...の違いです。
と言ったところで、ピンとこないですよね...。
種をつくって子孫を増やす植物を「種子植物」と言いますが、その種子植物は「裸子植物」と「被子植物」に分けられます。裸子植物とはつまり、種子の元になるもの(胚珠(はいしゅ)=受精して種になるもの)がむき出しになっている植物のことで、一方の被子植物とは、種子の元になるものが子房と呼ばれるもので覆われている植物のことを言います。ようは、針葉樹と広葉樹では体のつくりが違うのです。

針葉樹の多くは葉が落ちない常緑ですが、最近フローリング材としても人気の「カラマツ」のように、落葉する針葉樹もあります。
一方、広葉樹の多くは落葉しますが、熱帯などの広葉樹には落葉しないものも多くあります。

成長の仕方にも特徴があり、針葉樹は日光をたくさん浴びるために高く高く、上に伸びていきますが、広葉樹は枝葉を横に張って競争しようとします。
そのため、針葉樹は比較的まっすぐ伸び、木目が通っているので、通直な材を必要とする構造材に向いています。また細胞のつくりも単純で、軽くて柔らかなため、白木のままで美しく光沢をもっているのも特徴です。

一方の広葉樹は、左右へ太い枝を張りながら成長するため、まっすぐに育ちにくい分、木目が面白く、家具などに向いています。細胞のつくりは針葉樹よりも複雑で重たく堅いので、加工がしにくく、またねじれや狂いも大きいため、構造材には不向きです。

とはいえ、例えば桐という昔から箪笥によく使われてきた木は、広葉樹でありながら国内でとれる木材の中で一番軽く、割れや狂いも少ないことで有名。樹木、特に広葉樹はとても複雑で、例外も多く、まだまだ分からないことの多い分野なのです。

ちなみに桐は箪笥の材料に使われていることはよく知られていますが、実はとても燃えにくい素材なので、銀行の金庫などの内側には桐が張られているんですよ。

木もなかなか面白いでしょ?


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桧という木

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日本では、特に関西では、「桧」を好む人が多いように聞きますが、では一体、桧とはどんな木なのでしょうか?
今回は少し桧のお話をします。

まず、「桧」という名の由来ですが、細かくチップ状にして乾燥させた桧は燃えやすく、昔はそれをこすり合わせて火をおこしたため「火の木」という意味からきています。

樹形はイラストのように、杉よりも全体的に丸みを帯びたずんぐりしたスタイル。杉のように勢いよく成長せず、ゆっくり大きくなります。その分、杉よりも細胞が密で、重い木材です。

葉は、写真のように鱗片状で、全体としては扁平で柔らかいのが特徴。

乾燥地を好み、植林では尾根に植えられてきました。また、幼い桧の苗は日当たりを嫌うため、植林の際に葉の表を日当たりの良い方へ向けて植えてしまうと、日の光を避けようとねじれて育つため注意が必要な樹種でもあります。木は全て太陽の光が好きかと言えば、そうでもないんですね。木もやっぱり生き物、面白いですね。

桧は杉と同様に日本固有の木で、北は福島県、南は九州までと広範囲に分布しています。桧は戦後の植林の主要樹種であり、杉の次に多く植えられたのが桧です。良質の「木曽桧」は、「秋田杉」や「青森ヒバ」と並んで「日本三大美林」と言われ、世界的にも有名。
また、台湾には「タイワンヒノキ」という桧の変種が分布し、日本で最高齢の桧は450年生と言われていますが、何と台湾には2000年生のタイワンヒノキがあるとか。


性質としては、加工しやすく素直である点は杉と同じですが、細胞がやや密なため、比重は杉よりも少し大きく、重く堅いのが特徴です。材の中心部分(心材)と周りの部分(辺材)部分の色の差があまりなく、また含水率が低いので乾燥も容易。粘りがあって、水や腐れ、シロアリにも強いため、住宅の土台としても最適です。多くの人が好むあの独特の香りにはリラックス効果があり、その成分には高い抗菌作用があると言われています。

桧は世界で最も優れた針葉樹(建築用材として)として認識されており、最高品質の建材として古くから建築に活用されてきました。特に神社・仏閣・寺院などの建築には必須とされ、飛鳥時代の桧造りの建築には優れたものが多く、法隆寺は世界最古の木造建築物として今もなお立派に存在しています。このことは何よりも、桧の建築用材としての素晴らしさを証明しています。

また一方で、キメの細かさや色の白さが好まれ、仏像や能面の彫刻材や家具にも広く活用されてきたのも桧です。

現在では一般建築にも使われ、特に和の様式をもった建築物には多く活用されています。

世界が認めた優れた建築用材、桧は、まだまだごく身近なところにたくさんあるんです。
ぜひ、使っていきましょう。


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杉という木

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「杉」と言われても、「じゃあ一体どんな木なの?」と思う人が大半だと思います。
では実際にどんな木なのか、簡単に解説したいと思います。

まず、「杉」という名前の由来ですが、これは成長が早く、まっすぐに育つ木という意味で、「直ぐ木(すぐき)」からきたと言われています。
樹形は、イラストのように頭のとがったスラッとしたスタイルで、頭のトンガリは、成長の良い若い木特有。高齢の木になると頭がだんだん丸みを帯びてきます。つまり、頭のトンガリは「若い木」の証、盛んに成長しているという証拠なんです。

葉の先は写真のように針状にとがり、これらのとがった葉が上向きにたくさんついているのが特徴。

桧よりも湿潤地を好み、水分の多い水はけのよい土地で良く育ちます。

杉は日本固有の木で、北は函館から南は屋久島まで幅広く分布し、成長が早いということで、戦後最もたくさん植林された木です。数字でみると、何と日本面積の12%に杉が植わっていることになります。

古くから杉は、私たち日本人の生活に欠かせない身近な木として重宝されてきました。特に建築用材としては貴重で、例えば樹皮は屋根に、材は柱や板に、そして葉っぱは線香にと、あらゆる所に無駄なく活用されてきたのです。さらに、中心部に近い、赤く色づいた心材部分は、腐れやシロアリ、水に対してとても強く、建物の土台としても広く使われてきました。


しかし、杉を建築用材として使うには、伐採後、製材してからきちんと乾燥させる必要がありますが、水分を多く含む杉の乾燥は非常に難しく、杉の利用上の課題の一つになっています。

性質としては、細胞の空隙が比較的多いため、比重が小さく、それゆえに軽く、柔らかで、加工しやすいのが特徴。また伐採直後は心材部分(赤色)と辺材部分(白色)の色の違いがはっきりしていますが、時間の経過と共に両者とも艶のある茶褐色へと落ち着き、その差は分からなくなります。時間が経つにつれ、質感が良くなるのも杉の特徴といえます。熱伝導率が低く断熱性に優れているので、最近では裸足で歩けるフローリング材として、床材への活用も増加しています。さらに、粘りがあって強く、身近に豊富にある材料なので、梁や桁にも活用されつつあります。

また、杉には多くの地域品種があり、天竜杉、屋久杉、吉野杉、北山杉、秋田杉など、いくつかは聞いたことがあると思いますが、それぞれの品種によって性質は少しずつ異なり、用途も違ってきます。

今最も利用しなければいけないのは、何といっても杉の木です。

毎年春になると、杉を植え過ぎたことが花粉症の原因として話題になりますが、「植え過ぎた」のが花粉症の原因なのではなく、育ちきった杉を「使わないこと」が原因であることを、もっともっと知ってもらう必要があると思います。

 ※なお、海外のCedar(シダー)類を杉と訳すことが多くなっています(例えばレバノンスギ、レッドシダー=俗に言うベイスギ、ヒマラヤスギなど)が、あくまで通訳上のことであって、実はこれらは杉には縁の遠い樹種です。そもそも、ヨーロッパや中央アジア、西アジアにはスギは分布していません。


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